MCR EXPO 06S「シナトラと猫」@下北沢駅前シアター

3日連続企画の2日目。多少リンクはするけれど3本全く違うお芝居を1日ずつ日替わりというのが凄い。たった1本の為にどれぐらい練習をするのだろうか?普通に1週間ぐらいの公演やったってたいした収入にはならないだろうに、ここまでやられると潔い。お金じゃないんだろうなぁ、、、。本当は黒岩三佳さんが主役の初日が一番見たかったんだけど、チャットモンチーと重なった為断念。これだけたくさん見に行ってると、どうしても予定重なることが多い。最初の内は、ダブルブッキングも時々あったけど、Yahooカレンダーで管理するようになってからは問題なし。後から重要なのが重なって来た時が問題だけどね。優先度低い方のチケット代ドブに捨てる場合もあるけど、オークションで多少安くなっても捌いたりもできるからね。いい時代になったもんだよ。
カラーコーン(工事現場によくある三角錐のやつ)で埋め尽くされた壁。つまり、ハリネズミみたいな感じね。青を基調としながら中に赤色がぽつぽつと。レゴっぽいPOPさが新鮮な舞台美術。シーン切替えの暗転時には中に電球が仕込んであってピカピカ光る芸の細かさ。前に見た時もそうだけど、この劇団は舞台セット、衣装などの目に見える部分、つまりデザインに関する部分のセンスが良くて大好き。シンプル&ポップ。セットがポップなら、今日の衣装はこれまたシンプル。ただの真っ白なTシャツのお腹と背の部分に大きく黒い文字で名前が書かれていた。衣装ってただ役に合ったのを着るだけなのが普通だけど、こういうふうにアプローチ出来るってのはなかなか面白い(笑い寄りの芝居だから出来る事かもしれないけど)。
ヤクザな荒っぽい親父と、脳天気なちょっと抜けた天然な母親。その家の庭に置いてあったダンボール箱に捨てられた捨て子。家族同然に同居している父の子分・オガワ。その後、2人の間に産まれた次男。捨て子は虎雄と名付けられ、家族同然に育てられる。捨て子だという事を隠す事なく。 虎雄の友達に、「虎雄は捨て子なの?」と聞かれ、父はあっけらかんと「捨て子だよ」という。それを見て、とまどう虎雄。「だから、なんなんだよ。捨て子は捨て子だよ。」と父。 生まれがどうだろうと、血がつながっていようとなかろうと、そんなのは関係ない。1人の人間としてどう生きるかが大事なんだと、そう感じた。学校で捨て子だといっていじめられる虎雄。そんな兄を見て捨て子であることを否定する優しい弟も、大きくなるにつれてだんだんと不良になり、優しいだけの弱っちょろい兄の事をけなすようななる。高校生になり家にもよりつかず父ともケンカする始末。そんな中で父の吐くセリフが突き放すようで実は暖かかったりする。 はっきりとは説明はなかったけど、孤児だったことを知ってオガワのことを親身にしてくれるようになったらしいから、実は彼も孤児だったのではないだろうか? だから、逆にあんな強い事が言えるのでは。そういえば、前回の公演でも、どうしようもない失恋の後拾われた女性の話をやってたなぁ。もしかして書いている脚本の人自身も?まあそんな事詮索してもどうしようもないんだけど。
気持ちよく見れて、素直にたくさん笑えて、最後にはほろっとさせる。骨太なストーリーというわけではなく軽いテイストではあるけれど、笑いとストーリーのバランスがいい。というか、むしろ軽くストーリーのついたお笑いを見てるのに近いかも。変にブラックユーモアとかシュールな笑いとかではなく、敢えて言えば吉本とか王道のお笑いに近いような気もする。全然お芝居見た事ない友達を迷わず誘える数少ない劇団。ストーリー重視の人には勧めないが、笑いを求めている人、軽いエンターテイメントな感じで見る人にはほんとオススメです。そういえば今回も出てきた”ガンダム”ネタ。お芝居に合わせて、いかにもガンダムな効果音が1回鳴っただけ。この前の公演に比べてかなりさりげないネタだったけど、やはり30代が多いのか反応鋭く、男性客は爆笑。わからない人には、「えっ、何で爆笑してんの?」となってるんだろうな。今後も是非ガンダムネタ続けていって欲しい。
あひるなんちゃら・黒岩美佳(あひるなんちゃら←劇団名です、一応)の醒めた表情が相変わらずクール。今日は主役じゃないのでかなりセリフも少なく残念だったけど、あの表情見れただけでも充分だったりする。カーテンコールの時も、普通ならやり終わって安堵した表情とか拍手聞いて少しは笑顔とかになりそうなもんだけど、そんな表情はまるで無く、なんか機嫌でも悪いの?とか思ってもおかしくないような表情だった。達観したような目と、隙のない表情、セクシーなほくろがクールビューティー。シリアスもいけて、ブラックな笑いの取れる女優。いそうでなかなかいないキャラだと思う。脚本・演出の櫻井智也さんはほとんど素じゃないかというぐらいのジャストフィットなキャラクター。思いっきり、はじけてたなぁ。伊達香苗(通称:ダテカナ)は、この前と同じくお決まりのように超天然ぼけキャラ。顔からして天然系だもんな。いやそれともああいうキャラがこういう天然顔を作り出すのか?、、、。今日も思いっきりボケかましてくれて、たくさん笑わせてもらいました。いい空気持ってる。


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